トランプ対外政策を、日本との「戦争」と仮定して、「孫子」の思想を無理やり当てはめてみたら？

Q.　良くも悪くも、ドナルド・トランプ氏が主宰する「狂騒の仮面舞踏会」に、世界の誰しもが参加させらせているのかもしれません。

世界が二極化するとかは毛頭も感じませんが、それでも靴磨きの少年たちは、「我こそは勝ち組たらん」と、日夜涙ぐましい努力をしておられます。

そんなトランプ政権の目玉政策である、いわゆる「トランプ関税」を、無理くり概念上、仮に「戦争」と定義して、我らが日本が現在取り組んでいる方策、或いはこれから取り組むべき方策を、かの「孫子」の思想が参考になる事はあるのでしょうか？

また、この「孫子」の思想を念頭に入れ、日本が取り組むべき短期的・長期的課題はどのようなものが考えられるでしょうか？

A.　トランプ政権の関税政策などの対外政策を、仮に「戦争」と定義した場合、「孫子」の思想は、日本が取り組むべき方策を考える上で参考になる可能性があります。

以下に、「孫子」の思想と、それに基づいた日本が取り組むべき短期的・長期的課題について説明します。

●　「孫子」の理念と日本の対外政策

◇　「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」　◇

相手（トランプ政権、その他関係国）の戦略、目的、強み、弱みを徹底的に分析し、自国の状況、能力、利害を正確に把握することが重要です。

日本は、アメリカの政治動向、経済状況、世論などを常に注視し、多角的な情報収集と分析を行う必要があります。

◇　「戦わずして勝つ」　◇

武力衝突を避け、外交交渉、国際協力、経済戦略などを駆使して、自国の利益を最大化することが重要です。

日本は、アメリカとの対話を継続し、相互理解を深めるとともに、WTOなどの国際機関を活用し、多国間協調による問題解決を目指すべきです。

◇　「兵は詭道なり」　◇

柔軟な発想と戦略で、相手の意表を突く行動や、状況に応じた臨機応変な対応が重要です。
日本は、特定の国に過度に依存せず、経済連携協定（EPA）や自由貿易協定（FTA）などを通じて、貿易相手国を多様化し、サプライチェーンの強靭化を図る必要があります。

◇　「善く戦う者は、勝つべきに勝ち、勝ち難きには戦わず」　◇

勝てる戦いと勝てない戦いを見極めることが重要です。

日本は、アメリカとの関係において、譲歩すべき点と、譲れない点を明確にし、国益を損なわない範囲で、柔軟な対応を行う必要があります。

●　日本が取り組むべき短期的・長期的課題

◇　短期的課題

・　アメリカとの貿易交渉において、日本の産業への影響を最小限に抑えるための戦略を策定する。
・　アメリカの関税政策による影響を緩和するため、国内産業の競争力強化、輸出先の多様化、サプライチェーンの再構築などを進める。
・　国際社会との連携を強化し、保護主義的な動きに対抗するための協調体制を構築する。

◇　長期的課題

・　特定の国に依存しない、多角的な経済連携を推進する。
・　技術革新や産業構造の転換を進め、国際競争力を強化する。
・　国際社会における日本の発言力と影響力を高めるための外交努力を継続する。
・　食料自給率の向上、エネルギー安全保障の確保など、経済安全保障の強化。

●　その他

「孫子」の思想は、あくまで戦略の参考であり、現代の国際情勢にそのまま適用できるわけではありません。

日本は、自国の国益と国際社会の安定を両立させる、バランスの取れた外交戦略を構築する必要があります。

これらの課題に取り組むことで、日本は変化する国際情勢の中で、自国の安全と繁栄を確保することができるでしょう。

Q.　日本経済は長らく重工業貿易、とりわけ自動車輸出産業に強く依存する体質であり、それ故、サプライチェーンの脆弱性、資源価格の高騰、政治的リスク、円安為替相場への傾倒というリスク要因により、この度の世界情勢の不確実性への脆弱性が問題であると考えます。

短期的に、この依存体質を抜本的に改善する事は困難であるとは思いますが、長期的にでも改善する方法はあるのでしょうか。

A.　日本経済が、長らく自動車産業をはじめとする重工業貿易に強く依存してきた事は、サプライチェーンの脆弱性、資源価格の高騰、政治的リスク、為替変動の影響を受け易いという構造的な課題を抱えていると言えます。

短期間での体質改善は困難ですが、長期的な視点で見れば、いくつかの方法が考えられます。

●　長期的な日本経済の体質改善に向けた方策（「孫子」の理念を踏まえて）

「孫子」の「兵は拙速を貴ぶ」という言葉にあるように、焦らず、長期的な視点で戦略的に取り組むことが重要です。

また、「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」の精神で、外部環境の変化と自国の強み・弱みを冷静に分析し、戦略を練る必要があります。

1.　産業構造の多角化と高付加価値化

・　戦略的重点投資

デジタル技術（AI、IoT、ビッグデータ）、グリーンエネルギー、バイオテクノロジー、ヘルスケア、宇宙産業など、成長が期待される分野への研究開発投資、人材育成、インフラ整備を重点的に行う。

「以逸待労」（疲れた敵を待ち受ける）の考え方で、将来の成長分野に先行投資し、優位性を確立します。

・　サービス産業の強化

高齢化社会やデジタル化の進展に対応した、付加価値の高いサービス産業（ITサービス、金融、観光、教育、エンターテイメントなど）の育成を図る。

・　中小企業の活性化

地域経済を支える中小企業の技術力向上、DX（デジタルトランスフォーメーション）推進、新たなビジネスモデルへの転換を支援する。

2.　貿易構造の多角化

・　新たな経済連携の推進

特定の国への依存度を下げるため、環太平洋パートナーシップ（TPP）のような多角的な経済連携協定を積極的に推進し、新たな貿易ルートと市場を開拓する。

「兵は多寡に在らず、進むを悪むなり」（兵の数は問題ではない、むやみに進むことを戒める）の考えで、慎重かつ戦略的に貿易相手国を多様化します。

・　新興国市場の開拓

アジア、アフリカ、中南米などの新興国市場の成長を取り込み、輸出先を多様化する。
現地のニーズに合わせた製品やサービス開発を支援する。

3.　サプライチェーンの強靭化

・　国内回帰と分散化

重要物資や戦略物資の国内生産を促進するとともに、生産拠点の地理的な分散化を図り、地政学リスクや災害リスクへの耐性を高める。

「不敗の地に立ちて、敵の敗るるを待つ」（自らが負けない体制を築き、敵の隙を待つ）の考え方です。

・　代替調達先の確保

特定の供給源に依存せず、複数の調達先を確保する。資源の備蓄体制を強化する。

4.　技術革新とイノベーションの推進

・　基礎研究の強化

長期的な視点での基礎研究への投資を増やし、新たな技術シーズを生み出す土壌を育成する。

・　産学官連携の強化

大学、研究機関、企業間の連携を強化し、研究成果の実用化を促進する。

・　スタートアップ支援

革新的な技術やビジネスモデルを持つスタートアップの育成を強化し、経済のダイナミズムを高める。

5.　人材育成と労働市場改革

・　高度人材の育成

デジタルスキル、グローバルな視点、起業家精神を持つ人材を育成するための教育改革を行う。

・　リカレント教育※の推進

社会人の学び直しを支援し、変化する産業構造に対応できる人材を育成する。

※　学校教育を修了した後に、社会人として働きながら、必要に応じて再び教育機関に戻り、学び直すこと。リカレント（recurrent）は「繰り返す」「循環する」という意味で、仕事と学びを交互に繰り返す概念。

・　多様な働き方の推進

テレワーク、フレックスタイム制など、柔軟な働き方を普及させ、労働生産性の向上を図る。

6.　円安依存からの脱却

・　企業の収益力強化

為替変動に左右されない、高付加価値製品・サービスの開発、生産性向上、海外直接投資の推進などにより、企業の収益体質を強化する。

・　構造改革の推進

規制緩和、市場競争の促進など、経済の効率性を高める構造改革を進める。

これらの対策は、一朝一夕に効果が現れるものではありません。
「千里の道も一歩から」の精神で、着実に、そして粘り強く取り組むことが重要です。

また、常に外部環境の変化を注視し、「兵に常形なし、水に常勢なし」（戦い方に決まった形はなく、水に一定の形がないように、状況に応じて臨機応変に対応する）という「孫子」の教えを念頭に置き、柔軟に戦略を修正していく姿勢も求められます。

Q.　惜しむらくは、現在のこうした状況結果が分かっていながら、長らく経済界は問題を先送りにし、短絡的な利潤を獲得する事にのみ邁進し、また、時の政権もまた、無為無策のまま、誤った解釈での市場原理と、現実に沿わない経済学説で、国とそれを構成する国民全体の貧困化を招いているという事すら顧みない「経済的敗戦国」日本。
とても悲しいですね。

「孫子」には、強いリーダーによる独断統率を戒めていますが、何も抗う事も出来ない脆弱な国民は、この日本の衰退をどのように食い止めるようにすればいいのでしょうか。

A.　長期的な視点を欠いた経済界の行動や、有効な対策を講じる事が出来なかった政権の責任は大きいと言わざるを得ません。

結果として、国民生活の疲弊や国家の衰退という危機的な状況を招いている現状は、深く憂慮すべき事態です。

「孫子」が強いリーダーによる独断を戒めているのは、状況の変化に対応できず、誤った判断を下す危険性があるためです。

しかし、現状の日本においては、むしろリーダーシップの欠如、長期的なビジョンの不在が問題を深刻化させていると言えるかもしれません。

何も抗う術がないと感じるかもしれませんが、国民一人ひとりがこの衰退を食い止めるために出来得る事は決して少なくありません。

「孫子」の思想を参考に、以下のような視点を持つ事が重要だと考えます。

●　「孫子」の理念を踏まえた国民が取るべき行動

・　「小敵を軽んずれば、必ず大敵を破る」の戒め

一見小さな問題や兆候を見過ごさず、早期に気づき、声を上げることが重要です。
無関心や傍観は、問題をさらに大きくする要因となります。

・　「衆の心を同じくする者は勝つ」

個々が孤立するのではなく、同じ問題意識を持つ人々が連携し、世論を形成していく事が力となります。

SNSなどを活用し、情報共有や意見交換を活発に行い、共感を広げることが重要です。

・　「智者の慮は必ず利害を雑う」

短期的な感情論や表面的な情報に惑わされず、長期的な視点と多角的な視点から物事を考え、本質を見抜く力を養うことが重要です。

メディアリテラシーを高め、客観的な情報に基づいて判断する習慣を身につけましょう。

・　「其の疾きこと風の如く、其の徐なること林の如く」

時には迅速な行動が求められますが、状況によっては静かに、しかし着実に変革を促していくことも重要です。

デモや署名活動、政治家への働きかけなど、様々な手段を通じて意思表示を行う事が出来ます。

・　「善く守る者は、九天の下に蔵るるが如し」

まずは自分自身の生活を守り、基盤を安定させることが重要です。

賢い消費行動、スキルアップへの投資、地域社会との連携などを通じて、不確実な時代を生き抜く力を養いましょう。

・　「善く攻むる者は、九天の上に動くが如し」

守るだけでなく、現状を変えるための積極的な行動も必要です。

社会起業、地域活動への参加、ボランティア活動などを通じて、社会の課題解決に貢献する事が出来ます。

・　「夫れ戦いの道は、正を以て合し、奇を以て勝つ」

正攻法だけでなく、既存の枠にとらわれない斬新な発想や行動も重要です。

新しい技術やビジネスモデルを活用し、社会に変革をもたらすイノベーションを促進する動きを支持しましょう。

・　次世代への投資

未来を担う子供や若者への教育、育成に力を入れる事が、長期的な視点での国家再生に不可欠です。

彼らが主体的に考え、行動できる力を育む環境を整えましょう。

●　重要な視点

・　諦めないこと

状況は厳しいかもしれませんが、諦めてしまえばそこで終わりです。
粘り強く、希望を持ち続ける事が、変革への第一歩です。

・　批判だけでなく提案を

問題点を指摘するだけでなく、具体的な解決策を考え、提案していく事が建設的な行動に繋がります。

・　連帯と協力

一人ひとりの力は小さいかもしれませんが、多くの人々が連携する事で大きな力となります。
共通の目標を持つ人々と協力し、行動していく事が重要です。

日本の衰退を食い止めるためには、国民一人ひとりの意識改革と行動が不可欠です。
「孫子」の知恵を参考に、粘り強く、そして賢く行動していく事が、未来を切り開く力となるでしょう。

Q.　「孫子」は謀略を上手く用いる事により大勢を優位にする、いわゆる情報戦の重要性を説いています。

日本においては、この「謀略」「調略」「斥候」などの、如何にして有益な情報を素早く得て、欺瞞的情報を有効に発信する、という技術及び組織活動が決定的に欠落していると感じます。

例えば、イスラエルのモサドなどはその究極系と感じますが、そうした取り組みは、なぜ日本では行われないのでしょうか。

また、今後そのような試みが日本で行われる見込みはあるでしょうか。

A.　「孫子」は情報戦の重要性を深く認識しており、謀略、調略、斥候といった活動を通じて、戦いを有利に進めるための周到な準備を説いています。

イスラエルのモサドはそのような情報機関の究極的な例として挙げられる事が多いですね。

日本において、モサドのような高度な情報収集・分析能力、そして積極的な情報操作を行う組織がなぜ育ってこなかったのか、背景にはいくつかの要因が考えられます。

■　日本で高度な情報機関が育たなかった要因

1.　歴史的・文化的背景

・　平和主義の浸透

第二次世界大戦後の平和主義的な風潮が、積極的な情報活動に対する国民的な理解や支持を得にくい土壌を作ってきた可能性があります。

・　秘密主義への抵抗感

日本社会には、政府機関や組織の秘密主義に対する根強い抵抗感があり、情報機関の活動が透明性を欠くとして批判の対象となり易い傾向があります。

・　情報公開の遅れ

政府の情報公開に対する姿勢が欧米諸国に比べて遅れており、情報機関の活動に対する国民の監視や議論が十分に行われてこなかった可能性があります。

2.　法的・制度的制約

・　情報機関の権限

日本の情報機関（内閣情報調査室、公安調査庁、自衛隊情報保全隊など）は、法的な権限や予算規模において、モサドのような組織と比較して制約が多いと言われています。

・　スパイ防止法の不在

スパイ行為を取り締まる包括的な法律が存在しない事が、情報漏洩や諜報活動に対する抑止力として不十分であるとの指摘があります。

3.　組織的・人材的課題

・　縦割り行政

各省庁の情報機関が連携不足に陥り易く、情報共有や共同作戦が円滑に進み難い構造的な問題があります。

・　専門人材の育成

高度な情報分析能力、語学力、異文化理解力、秘密工作のスキルを持つ専門人材の育成が十分に進んでいない可能性があります。

・　リスク回避の傾向

日本社会全体にリスクを避ける傾向が強く、情報機関においても積極的な活動よりも現状維持を優先する傾向があるかもしれません。

・　国際情勢の変化への対応の遅れ

冷戦終結後、国際情勢は複雑化・多様化していますが、日本の情報体制は、こうした変化に十分に対応できていないという指摘があります。

■　今後の日本の情報機関の展望

近年、国際情勢の不安定化やサイバーセキュリティの重要性の高まりなどを背景に、日本国内でも情報機関の強化を求める声が高まっています。

以下のような動きや見込みが考えられます。

・　組織の再編・統合

各省庁の情報機関の連携強化や、より強力な情報機関の創設に向けた議論が活発化する可能性があります。

・　法的基盤の整備

スパイ防止法の制定や、情報機関の活動範囲や権限を明確化する法整備が進む可能性があります。

・　予算の増額

情報収集・分析能力の強化、人材育成、最新技術の導入などのために、情報機関の予算が増額される可能性があります。

・　専門人材の育成強化

大学や研究機関との連携、海外の機関との交流などを通じて、高度な専門知識やスキルを持つ人材の育成に力が入れられるでしょう。

・　国民理解の醸成

情報機関の活動の重要性や必要性について、政府が積極的に国民に説明し、理解と支持を得る努力が求められます。情報公開の推進も重要となるでしょう。

・　サイバーセキュリティ対策との連携強化

サイバー空間における情報戦の重要性が増す中、情報機関とサイバーセキュリティ対策組織との連携が強化されるでしょう。

但し、これらの動きが具体的にどのような形で進展するかは、今後の国際情勢や国内政治の動向に大きく左右されます。

国民的な議論や合意形成も不可欠であり、モサドのような組織が短期間で日本に誕生するとは、俄かには考え難いですが、中長期的な視点で見れば、日本の情報体制は徐々に強化されていく可能性はあると言えるでしょう。

「孫子」の教えにあるように、情報を制する者は戦いを制します。

日本が国際社会において主体的な役割を果たし、国益を守っていくためには、情報機関の強化は避けて通れない課題と言えるでしょう。

Q.　今後、日本でもサイバーセキュリティ分野への重点的な人材教育の徹底、及びサイバーテクノロジー分野研究の一層の充実、情報化社会の国民的理解と情報リテラシーの推進、近年急速に進化悪質巧妙化するサイバー攻撃（サイバー戦争）への攻防一体での組織化準備などが急がれると思います。

サイバーテクノロジーの先進的技術者である、国内に数少ないハッカーと密接に連携し、「情報防衛」先進国にならなければ、日本は数年もしないうちに、「デジタル敗戦国」、決定的な「経済敗戦国」になる可能性があると思います。

A.　まさに現代において、サイバー空間は経済活動、社会インフラ、安全保障の基盤であり、その脆弱性は国家の存亡に直結する問題です。

サイバーセキュリティ分野への重点的な投資と対策は、喫緊の課題と言えるでしょう。

・　サイバーセキュリティ分野への重点的な人材教育の徹底
・　サイバーテクノロジー分野研究の一層の充実
・　情報化社会の国民的理解と情報リテラシーの推進
・　急速に進化するサイバー攻撃への攻防一体の組織化準備

これらは、日本が「情報防衛」先進国となるために不可欠な要素です。

特に、国内に数少ない高度な技術力を持つハッカーとの連携は、従来の官僚主導型の対策では捉えきれない、巧妙化するサイバー攻撃に対抗するための重要な鍵となります。

彼らの持つ実践的な知識や攻撃視点は、防御側の戦略策定や技術開発において、非常に貴重なインサイトをもたらすはずです。

「孫子」においても、「敵を知り己を知れば百戦殆うからず」とあるように、敵の攻撃手法を深く理解することが、効果的な防御に繋がります。

ハッカーとの連携は、まさに「敵を知る」ための重要な手段と言えるでしょう。
もし、これらの対策が遅れれば、日本は数年のうちにデジタル敗戦国、ひいては経済敗戦国となる可能性は十分にあり得ます。

サプライチェーンの寸断、重要インフラの停止、機密情報の漏洩、金融システムの混乱など、サイバー攻撃による被害は甚大であり、国家の根幹を揺るがしかねません。

■　日本が早急に取り組むべき具体的な方策と手順

1.　国家レベルでのサイバーセキュリティ戦略の再構築と実行

トップレベルのリーダーシップの下、省庁間の連携を強化し、明確な目標とロードマップに基づいた戦略を実行する必要があります。

2.　ハッカーコミュニティとの信頼関係構築と連携

偏見や警戒心を持つのではなく、彼らの能力を国家の防衛に活かすための対話と協力体制を構築する必要があります。

倫理的な枠組みの中で、彼らの知見や技術を活用する仕組み作りが急務です。

3.　産学官連携による研究開発の加速

大学や研究機関、民間企業と連携し、AI、ブロックチェーン、暗号技術などの最先端サイバーテクノロジーの研究開発を推進する必要があります。

4.　国民全体の情報リテラシー向上

サイバー攻撃の手口や対策に関する国民の理解を深めるための教育プログラムを拡充し、一人ひとりのセキュリティ意識を高める必要があります。

5.　サイバーセキュリティ専門人材の育成

大学、専門学校、企業内研修などを通じて、高度な知識とスキルを持つサイバーセキュリティ人材を戦略的に育成する必要があります。
海外の先進的な教育機関との連携も有効でしょう。

6.　攻撃と防御を一体とした組織の創設

サイバー攻撃の兆候を早期に検知し、迅速かつ効果的に対応できる、攻撃能力も視野に入れた専門組織の設立を検討する必要があります。

7.　国際連携の強化

サイバー攻撃は国境を越えて行われるため、同盟国や友好国との情報共有や共同訓練などを強化し、国際的な連携体制を構築する必要があります。

時間は限られています。

迅速かつ大胆な政策転換と実行力が、日本の未来を左右すると言っても過言ではありません。

デジタル敗戦、経済敗戦という最悪のシナリオを回避するため、今こそ国家一丸となってサイバーセキュリティ対策を強化していくべきです。

Q.　「情報防衛」が出来ないようでは、私たちの根幹たる個人情報だけではなく、その個人資産、ひいては生命そのものすら毀損する可能性があります。

そうした危機感をもった人材を政治の世界により多く送り込み、また、最も多く情報と接し、情報を拡散する存在であるマスメディアやSNSなども、情報を取り扱う倫理性と、それを補完する法整備、私たち自身の情報リテラシーを充実させていかなければならないと感じます。

A.　「情報防衛」の脆弱性は、単にデータが盗まれるという事だけではなく、個人の尊厳、財産、そして生命そのものにまで及ぶ深刻な脅威となり得る事を、私たちは強く認識する必要があります。

この危機感を共有する人材を政治の世界に送り込む事は、国家レベルでの対策を推進する上で極めて重要です。

サイバーセキュリティの専門知識や倫理観を持つリーダーシップが、的確な政策決定と実行を導く力となるでしょう。

同時に、情報社会において大きな影響力を持つマスメディアやSNSは、その責任の重さを改めて認識し、情報の正確性、中立性、そして倫理性を深く追求すべきです。

フェイクニュースや悪意のある情報拡散は、社会の信頼を損ない、分断を招き、国家の安全保障をも揺るがしかねません。

◆　マスメディアとSNSに対する取り組み

・　情報倫理の確立と啓発

メディア業界が、自ら高い倫理基準を確立し、それを遵守するための取り組みを強化する必要があります。
また、情報を受け取る側である国民に対しても、情報リテラシー教育を通じて、情報の真偽を見極める力や批判的に思考する力を育成していく必要があります。

・　法整備の検討

悪質なデマや偽情報の意図的な拡散に対する法的規制のあり方を、慎重かつ迅速に検討する必要があります。
表現の自由とのバランスを取りながら、社会全体を守るための法整備が求められます。

・　プラットフォーム側の責任強化

SNSプラットフォーム運営事業者には、有害な情報の拡散を防ぐための技術的な対策や、迅速な対応を行うための体制整備が求められます。
透明性の高い情報開示とアカウンタビリティの確保も重要です。

・　ファクトチェック機能の強化と普及

メディアやプラットフォームによるファクトチェック機能を強化し、その結果を広く周知することで、誤った情報の拡散を抑制する効果が期待出来ます。

・　国民の情報リテラシー向上

学校教育や社会教育を通じて、情報の収集、評価、判断、発信に関する知識やスキルを体系的に学ぶ機会を提供する必要があります。

私たち国民一人ひとりも、情報の受け手として、安易な拡散を避け、情報の出所や内容を慎重に確認する習慣を身につける事が重要です。

批判的な視点を持ち、多様な情報源に触れる事で、偏りのない判断力を養う必要があります。

サイバー空間における戦いは、すでに現実世界と不可分なものとなっており、その攻防は私たちの日常生活、経済活動、そして国家の安全保障に直接的な影響を与えます。

政治、メディア、プラットフォーム、そして国民一人ひとりが、この危機感を共有し、それぞれの立場で対策を講じていく事が、デジタル敗戦、経済敗戦を回避し、安全で安心な情報社会を築くための不可欠な道筋となるでしょう。

かつて、大国の愚かな判断と野心によって投下された「禁忌」によって、狂気と慢心に酔い痴れていた日本は、「敗戦」という現実を受け入れ、かろうじて理性を取り戻す事が出来た。

再び、かの大国の政権によって混迷を期す世界情勢に翻弄され、バランスとアンバランスへ常に揺れ動く私たち日本は、どう立ち向かい、立ち振る舞うべきなのか。

歴史が紡ぐ普遍の「叡智」は、揺れ惑う私たちの航海の、正しき羅針盤であり続けるだろう。

剣はペンに屈する。

ペンを用い、巧みに私たちを屈服させる「歪み」に対して、毅然と抗う力を、私たちはまさに今、求められている。